――ある日差しの強い日。


珍しく、プレゼントなんてくれたので包みを開けてみたら。
「………………スパッツ？」
『うん、まぁこの季節にロングスカートは暑苦しくないかな、って思って――ぶっ！？』
へらへらと笑っているその顔に紙束を投げつける。
「だ、だからって、スパッツはないでしょスパッツはっ！！」
…どうせこの人の事だ、薄着＝スパッツとか安直な発想で…
『そうは言うけどね、でも俺は絶対にコヨーテに似合うと思っｔ』
「こんな、身体のラインが目立つような服　着　れ　る　か　っ！！」
力の限り叫んだ。

…うん多分、今の私多分顔真っ赤だなぁ。
ま、1回くらいは着てみてあげてもいいかな、とは思うけど。
『じゃあ、せめて1回着てみせて。』
「ふぇ」
着てくれと頼まれてしまった。
「…わかったわよ」
『ん、わかった。じゃあ後ろ向いてるよ』
そういうと、彼は後ろを向いて―
「…後ろ向く位なら、一旦部屋から出て欲しいんだけど」
『あ、これは失礼。』

そう言うと、そのまま部屋を出て行った。
…口調がわざとらしかったのは、多分途中で振り向くなりして覗く気だったんだろうなぁ。
（好感度やその他諸々がガタ落ちねー。）
心の中でそっと呟いてから、ごそごそと着替え始めた。


―――１０分後。

「着替えたよー」
扉の向こうに声をかける。程なくして扉が開き、あの人が再びその顔をこちらに向ける。
『…うん、やっぱり、似合うよ』
頭の上から足先まで、一通り眺めてから、視線が私の顔に戻る。
―その表情は、私が見たどんな表情よりも優しそうに見えた。

どくん、と。
心臓の音が一層うるさくなった気がした。…き、聞こえてないよね。

「こ、これネクタイも服に合わせてくれたんだね。それについてはお礼を言うｙ」
『でもってあーもう可愛い』
私と彼の声がハモリ、それとほぼ同時に彼の腕が私を抱きしめんとこちらへ伸び――

「いきなり触ろうとすんな―――！！」
『うわわっ、ってぎゃあー！？』




ぱしーんと景気のいい音が響いた後、『ギブ！ギブ！』とか叫び声が聞こえた気がするけど
まぁ、それはあの人が悪いということにしておく。

でも足でキメた時にあの人が満足げな顔してたのはちょっと納得いかない。