「だーいきっ♪」 むぎゅ、という音が聞こえてきそうだ―…座ってテレビを見ていた大樹の背後から、 恵理がこれでもかと胸を押しつけながら抱きつく。 「どうしたー? ・・・まだ、そんな時間じゃないだろ?」 「えへへ、そうだけどさー♪ 別にしたくて抱きついたんじゃないよー」 言いながら二人して時計を見やると、針はまだ夜の8時を刺していた。 二人の(いつもの)秘事にはまだ早い時間。 「大樹と居られる事が、幸せだなあって」 そう言って恵理は目を閉じる。 テレビから流れるアナウンサーの声、時計の針が時を刻む音、 それだけが当たり前の様に響く部屋の中で― 二人は少しだけ無言になった。 【お題 5.貴方(ユーザ)の知らない所で】